カテゴリー: 番付書物

【文学】10月、ハロウィンの前に読みたくなる!? SF吟遊詩人☆レイ・ブラッドベリ代表作ランキング

年秋が来ると思い出す作家がいます。その名はレイ・ブラッドベリ(Ray Bradbury)★ 『10月はたそがれの国』や『ハロウィーンがやって来た』など秋めいたタイトルに、幻想的で抒情的な文体。“文学的なSF”を遺したブラッドベリの本を、10冊集めました。

10月はたそがれの国

10月はたそがれの国 (創元SF文庫)

センチメンタルでノスタルジックな作風のレイ・ブラッドベリは、世界で最も10月が似合う作家。
「ブラッドベリでどれが好きなの?」と聞かれると、とっさにこの本が思い浮かぶのは、著者のキャッチコピーみたいなタイトルをしているからでしょうか。『10月はたそがれの国』は、みずみずしく澄んでいながらゴシックロマンス調の怪異さも匂う、蠱惑的な初期短編集です★

骨、死、大鎌などなど、あの世の匂いのするモティーフ満載。

子どもの頃ほど不思議なものに純粋に心惹かれて、「死ぬってどんなことだろう?」と、怖がりながらもどこかしら夢みるような心地で思っていたもの。
そうした少年の感覚を持ち続けたまま年を重ねたブラッドベリの感性を、心ゆくまで堪能できます。

抒情的な文章を得意とする作家は、素晴らしいショートストーリーを多く書いているもので、ブラッドベリも以後すぐれた短編をたくさん遺すことになりました。

 

ハロウィーンがやってきた


ハロウィーンがやってきた (ベスト版 文学のおくりもの)

ファンタスティックな名文にのって、8人の少年たちが古代エジプトやメキシコなどに飛び、ハロウィンの歴史のなかを旅する。世界で最も素敵なハロウィン童話です。
10月にブラッドベリを読むなら、コレは外せません!幽霊や魔女に変身して人のお宅を訪ね歩く、ちょっぴり怖くて不思議な、死の匂いのする少年時代の思い出……。ハロウィンは、ブラッドベリの世界観と相性ぴったりのイベントです。

日本人のハロウィンコスプレは、由来を無視して可愛い系に進んでしまってますが…、「この本が好きだ」という人の仮装なら、一定で許せるような気がします★

 

たんぽぽのお酒/さよなら僕の夏

50年を経て後編が書かれたことを聞いて、びっくり!
2冊組で取り上げます。

たんぽぽのお酒

たんぽぽのお酒 (ベスト版文学のおくりもの)

の日向の匂いと少年時代への思い入れがこもった、ノスタルジックな物語です。

真新しいテニスシューズ、いっぱい頬張るハムサンド、そしてアイスクリーム……、
この夏に起きた出来事を何もかも記憶に刻みつけようとする、ダグラスとトムたち。

純粋に若さを満喫中の弟トムに比べ、兄のダグラスが多感であることがポイントのようですね。
ダグラスは、過ぎゆく時間の中で「いま生きている!!」という喜びと同時に、去ってゆく友達、移っていく時代、消えゆく風景について、デリケートに感じ取ってしまうのです――

彼らが暮らすグリーンタウンを見舞ったさまざまな変化が、魔術的なまでに美しい文章であらわされています。

この物語のシンボルは、何と言っても毎年仕込むたんぽぽ酒の壜。
ダグラスがなんとしても忘れまいと願う、その年だけの夏の空気がつまっています❂

夏休みというのもまた、ブラッドベリ作品で大切な主題。
レイ・ブラッドベリを愛読する人が、心の中でとても大切にしている一冊です。

さよなら僕の夏


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さよなら僕の夏

そして、Farewell Summer! あの夏の1年後を描くストーリー。
これほど嬉しい驚きをもたらす続編を、実はブラッドベリは初めから書くつもりでずーっとあたためていたのだそうです。少年VS老人!? 去りゆく時間を惜しむあまり、大人になることを拒否しようとする少年たちが、偏屈じいさんとの間でまき起こす「戦争」において、その戦いの大将に命じられるダグラス……。

〇〇塔を爆破するというビッグプロジェクトが、この物語にまさにぴったり、しっくり来ます。

誕生日を迎えてとびきり光ってる女の子の行動に、振り回され気味のダグ君……。
年をとったおかげで、素敵なコトも待っているようですね。この小説で何十年ぶりに、再読以外でブラッドベリを開いて、予想を超えて心を洗われました。
「成長したら、ピュアではいられなくなっちゃうんだろうか?」という恐れに、子どもの頃からおじいちゃんっ子だった著者だからこそ出せる答えが、真剣に書かれているような気がします。

若さとはしがみつくものではなく、リレーしていくものというイメージにふれてみて。

火星年代記

火星年代記 (ハヤカワ文庫 NV 114)

者がレイ・ブラッドベリとファーストコンタクトを果たした、個人的に記念すべき一冊。

身勝手であつかましい、招かれざる客・地球人(ぎく…。)が続々と押しかけてきたその時、火星人たちはいかにして出迎えたのか。
そして、その後の火星の情景をオムニバス形式で紡ぎ合わせた、美文の短編集です。

SF界で彼が不動の人気を誇るのは、本書あってこそです。

この本は、地球人類の文明に懐疑的なんですね……。
普通、体制に批判的な作品というのは、頷ける内容であってもとげとげしい気持ちを起こさせるものですが、この小説はアイロニー(皮肉)さえ美しいです。湖面に映る星空のような詩情をたたえた、極上の文章に酔いしれましょう☆

華氏451度


華氏451度〔新訳版〕

華氏451度、それは本の素材である紙が燃え始める温度。

焚書を行う職務にありながら、文学の奥深さに強くひきつけられてしまったモンターグ。
本への愛も燃え上がってしまった彼の運命やいかに。
知恵の実をかじる禁断の喜び、震え、おののき。その先で待っているものは……!

おもしろコンテンツを生み出す今の日本では想像もつかない世界観ですが、本を読むという行為は個人の思想や主義主張を育みますから、独裁国家にとっては危険なことだったりするんですよね。

こんな風に、読書する権利を脅かされることのない未来でありますように☆

太陽の黄金の林檎

太陽の黄金(きん)の林檎〔新装版〕 (ハヤカワ文庫SF)

ラッドベリお得意の短編集で、最も内容が充実している本ではないでしょうか。
宝石のようにきらめくイメージの宝庫です☆☆

この著者の作品中では、比較的明るいところも気に入ってます♪

この本に収録されている『霧笛』こそが、ブラッドベリ短篇の中で最も好きな作品。
灯台の霧笛の音にひかれ、時を超えてやってきた〇〇……。不思議な邂逅が、悲しみをたたえながらも叙情的な美しさで紡ぎだされた、代表作の一つがここで読めます。

メランコリイの妙薬


メランコリイの妙薬 (異色作家短篇集)

『異色作家短篇集』に収められた作品集。というところにも敬意を払って読みたいところ。
(この異色作家短篇集というのは、多くの読書好きの人生に、多大な影響力を及ぼしているシリーズだったりします…)

ブラッドベリ版は、SF、ファンタジー、ホラー…、ジャンル問わずカバーしているので、バラエティーに富んでいて楽しかったです。

猫のパジャマ


猫のパジャマ (河出文庫)

猫とブラッドベリ、どちらも好きならぜひ……、いえ、猫好きでなくても満喫できます。

猫を拾ったお二人さんをめぐる物語を始めとする短篇いろいろに加え、絶筆になったエッセイも入っていたりして。
可愛いだけじゃない、価値ある一冊。

緑の影、白い鯨

ょっと変わったところをご紹介しますと、
J・ヒューストン監督の映画『白鯨』は、レイ・ブラッドベリが脚本を担当したのです。
そこで、この映画に関わったことで、破天荒男J・ヒューストンに振り回された時代を振り返るエッセイも書かれています。

ブラッドベリは大好きだけれど、小説はあらかた読んだから別の切り口を探している……という同志にオススメします★

白鯨 [DVD]

映画はというと、船長があのグレゴリー・ペック!? 目一杯イメージを裏切るキャスティング。
あふれる冒険心と、全編にわたりみなぎる高揚感を堪能しましょう。

萩尾望都の『ウは宇宙船のウ – ブラッドベリSF傑作選』

ウは宇宙船のウ (小学館文庫)

活字はどうしても疲れるかたは……、少女マンガで読めるブラッドベリをどうぞ。

あの萩尾望都先生によるマンガ化センス爆発。
ブラッドベリのエッセンスが、あますところなく抽出されています。


小学館コミック文庫(女性)

むすび。

ハイティーンのころ、たくさんのSF・ファンタジー小説を読みあさったけれど、
そのなかでもレイ・ブラッドベリは別格です。
本棚のなかで最もいい位置に、大切にしまっておきたくなる、たんぽぽ酒みたいな物語ばかりを遺してくれた作家です。

また、いつかの10月に手にとりたいです。

※掲載の内容は、記事公開時点のものです。変更される場合がありますのでご利用の際は事前にご確認ください。
公開日: 2015年09月05日

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