父の日に思い出したい、偉大な父がいます。それはイギリスの作家、ハーバード・ジョージ・ウェルズ。幾多のSF的ガジェットの生みの親です。科学的な知識を創作の世界に持ち込んだ彼は、ジュール・ヴェルヌと並び「SFの父」と称されています。宇宙ロマンスのほか、骨太な評論も遺しているウェルズの世界へとお連れします。

水晶の卵

タイトルが美しい…という単純な理由で読んでしまった短篇です。

水晶の卵』は、19世紀、骨董屋さんの店先にあった水晶(?)の向こうに”あの星”を見る…、不思議な味わいの短いストーリーです。あまり知られていませんが、ウェルズのこういう幻想的な掌編、好きです☆

タイム・マシン ウェルズSF傑作集
創元SF文庫のウェルズSF傑作集に収録されています。

タイムマシン

時空を行き来できる装置「タイムマシン」が堂々登場!
なんと1895年の作品、です。発表当時は世界の度肝を抜いちゃったんじゃないでしょうか。

マシン開発者の名前は作中では出てこず、ただ「タイムトラベラー」とだけ呼ばれる人物が未来を旅します。さて、そこで目にした、驚くべき人類の未来とは――!?
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ウェルズの書くものは文明社会に批判的な面があり、未来展望の暗さが特徴的です。
『タイムマシン』でも、薔薇色の未来は描かれていません。

しかし何より、時を旅するというアイディアが、人々をすっかり幻惑してしまいました。
100年過ぎてもわれわれ地球人はタイムスリップ物にまだ飽かず、本書の影響を受け続けています。

3位

『宇宙戦争』

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宇宙戦争 (創元SF文庫)
1898年に誕生した、侵略テーマの古典的傑作です。
火星のかたには失礼に当たることでしょうが、困ったことに「金字塔」と言いたくなるくらい、忘れられない面白さです。

頭でっかちでグニャグニャした足を持つ、タコそっくりの宇宙生物の襲来で、われわれ地球人は大パニックを起こします。

私たちから見ると奇妙でグロテスクな宇宙生物……ということになっているのですが?!
その描写に恐怖心をそそられながらも、奇妙な愛着、ノスタルジーを感じてしまうという、倒錯した地球人の趣味があったりします。

そして、われわれが頼みの綱にしている文明の利器は………。ただのパニックものではなく、人間の思いこみや思い上がりをハンマーでガーンと打ち砕いてくれるような展開も待っています。

4位

透明人間

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透明人間 [完訳版] (偕成社文庫)
決して顔を見せようとしない怪しい男が現れた時から、村に奇怪な事件が起きるようになる。謎めいた出だしを経て、次第に明らかになっていく事態の真相とは――!?

娯楽小説と侮るなかれ。
科学者の野心と業、己が怪物と化していく苦悩を描いた”文学”です。

SF的なアイディアに焦点が当たりがちですが、ウェルズ小説は語りの巧みさを堪能するもの。特に『透明人間』は、ウェルズの数多い著書の中でも、特別ぐいぐい引き込まれる語り口です。

5位

モロー博士の島

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モロー博士の島 他九篇 (岩波文庫)
海難事故に遭った青年が引き上げられたのは、動物だらけの船でした。そして…、動物を改造し人間化を進める、かなりの奇人変人・ドクター・モローが登場!

このモロー博士のマッドサイエンティストっぷりが見どころです。常軌を逸している人物なので、ぞっとするような面も持っていますが……、あくまでもエンタメ小説ですから、その途轍もないマッドサイエンティストっぷりを、心ゆくまで堪能しましょう

自分が神になろうとする人間の、傲慢さへの戒めも感じます。相変わらず地球人を震撼させるような小説を書くウェルズさんなのです。

6位

解放された世界

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解放された世界
1914年に出されたSF小説。力を求める人類が向かってしまう方角への懸念が、これまで以上の深さで表れた、世紀末的作品。創作と言いながらも、石油やガソリン等の燃料の枯渇、核兵器の開発までも予見されていることに、ひざがガクガク言い出します。

いまや現実となってしまった問題もあるだけに、重く、大変恐ろしくも思える内容なのですけれど、「日本人が読むべきウェルズ」はこれなのでしょうね。

7位

世界文化小史

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世界文化小史 (講談社学術文庫)
面白いとは思っているけど、創作小説はもうあらかた読んでしまったというウェルズ上級者は、評論に挑戦しましょう!

多くのサイエンスフィクションを創作したのち、評論執筆や社会活動に移っていったウェルズ。
『世界文化少史』では人類の発生から現代までの過程を語っています。科学的な視点を持つ歴史書だというところが興味深いです。小説を思い出させる名調子にも、引っ張り込まれます。

未来への警鐘をガンガン鳴らしまくったウェルズですが、人類への信頼も多く持っていたことも感じます。

世界文化史大系

全4巻の歴史書。
上に挙げた『世界文化小史』は、『世界文化史大系』の簡易版との噂(それでも十分興味深いですが)。ウェルズに強い関心があり、かつ古書蒐集の趣味もあるかたなら、『文化史体系』も拝みたくなるはず。しかし、触れるのがこわいような希少本です。

ダヴィドソンの眼の異常な体験

電子書籍であるこちらには、紙の本にはない、とても珍しいウェルズ作品が収録されています。

「SFの父」と呼ばれるほど超有名作家でありながら、案外、このように日の当たらない作品も残されているウェルズは、未だに摩訶不思議な存在です。調べ次第、情報追加していきます!

五島勉『H.G.ウェルズの予言された未来の記録』

直接ウェルズの本を読むのは大変だけど、まるで未来を予期していたかのような、彼の慧眼が気になって仕方がない……! というかたに推したい一冊。

やや恣意的ではありますが、ウェルズはここまで未来を見通していたのだということを説明してもらえます。日本人がまとめた本なので、翻訳物より分かりやすくてちょっとラクできるかも!?

※過去、某番付メディアに掲載した記事を採録しました。筆者のその時の好みで変更する場合があります。

初出: 2016年05月11日

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